2017年9月9日土曜日

中国人民抗日戦争記念館

5年前の2012年12月に中国・北京へひとり旅に出たときのことです。日本が第二次世界大戦を引き起こすきっかけのひとつである盧溝橋事件の現場を訪れることにしました。盧溝橋自体は北京郊外に今もある橋です。ついでに橋の袂にある中国人民抗日戦争記念館<http://www.1937china.com/jp_web/>に入ることにしました。

記念館は人まばらでしたが、館内の資料を見るにつれ、僕は唖然としました。日本軍が行ったとされる殺人・強姦の写真やビデオ、新聞記事を多く見ました。特に、無数の遺体の上に無造作に放置された、強姦され、殺され、仰向けの全裸で女性器に槍を刺されたままの少女の遺体の写真に釘付けになりました。しばらくの間、込み上げる嗚咽と共に考えました。日本では、中国国内の戦時中の写真やビデオは中国共産党のでっち上げだという論評を聞くことが少なくありません。けれども、中国がここまで事実を捏造する必要性がありません。これは日本軍の仕業だと残念ながら考えるに至らざるを得ませんでした。

当時の僕は、日本は戦後処理を国際法上はほとんど終えていると考えていましたし、中国人や韓国人の反日感情にピンとこないこともあったのです。しかし、この記念館を訪れて、中国や韓国の人々の気持ちが少しわかる気がしました。中国の人々の日中戦争に対する見方を垣間見ることになったからです。もしかしたら、日本軍のなかにも一般市民の殺人・強姦を行わなかった部隊もあるかもしれません。しかし、少なくとも一部の部隊が中国一般市民の殺人・強姦を行ったことは避けがたい事実だと僕は思います。

記念館の最後に、第二次世界大戦の反ファシズム勝利を祝うための、世界中の国旗を飾ったコーナーがあります。でも、どこを見渡しても日本の国旗はないんです。ショックでした。自分の歴史認識の甘さに気づきました。世界には日本・日本人を嫌いな人もいるのです。

日本に帰国後、行きつけのカウンターバーでお店の大将とこの話をしていたら、横に座っていた他のお客さんに「何を言ってんだ!中国共産党の陰謀に決まってるだろ!騙されるな!」などと怒られました。その方は中国でビジネスを展開していると話していました。僕は黙るしかありませんでした。僕は、歴史というものは様々な角度から観ることが重要だと思います。


中国人民抗日戦争記念館
Source) Google

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